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聞こえない人の福祉

1. 聴覚障害者の範囲と「デシベルダウン運動」

聞こえない人にとって住みやすい社会をつくるためには、幅広いバリアフリーな社会、互いに支え合う社会となるような取り組みが必要ですが、身近な問題として福祉サービスの充実が大変重要になります。

しかし、日本の福祉サービスには、身体障害者手帳を持っていることが利用条件となっているものがあります。聴覚障害については、身体障害者福祉法などに基づいて身体障害者手帳の認定基準が定められており、その基準に該当しない場合には、聞こえに困っていても聴覚障害による身体障害者手帳を取得できません。

難聴の程度と平均聴力レベル

難聴の程度と平均聴力レベルの関係
難聴の程度 平均聴力レベル 聞こえの程度
正常 25dB未満  
軽度難聴 25~40dB未満 小さな声や騒音下での会話の聞き間違いや聞き取り困難を自覚する。
会議などでの聞き取り改善目的では、補聴器の適応となることもある。
中等度難聴 40~70dB未満 普通の大きさの声の会話の聞き間違いや聞き取り困難を自覚する。
補聴器の良い適応となる。
高度難聴 70~90dB未満 非常に大きい声か補聴器を用いないと会話が聞こえない。
しかし、聞こえても聞き取りには限界がある。
重度難聴 90dB以上 補聴器でも、聞き取れないことが多い。
人工内耳の装用が考慮される。

出典:日本聴覚医学会「難聴対策委員会報告-難聴(聴覚障害)の程度分類について-」2014年

WHO(世界保健機関)の聞こえの程度の分類

WHOによる成人の聞こえの程度
平均聴力レベル WHOの分類
20dB未満 正常聴力(Normal hearing)
20~35dB未満 軽度難聴(Mild hearing loss)
35~50dB未満 中等度難聴(Moderate hearing loss)
50~65dB未満 中等度~高度難聴(Moderately severe hearing loss)
65~80dB未満 高度難聴(Severe hearing loss)
80~95dB未満 重度難聴(Profound hearing loss)
95dB以上 完全または全聾(Complete or total hearing loss / deafness)

※WHOでは、成人について、良い方の耳の500Hz、1000Hz、2000Hz、4000Hzの平均聴力レベルを基準に分類しています。

身体障害者手帳の聴覚障害等級

身体障害者障害程度等級表(聴覚障害)
等級 身体障害者福祉法施行規則 別表第5号の規定
2級 両耳の聴力レベルがそれぞれ100デシベル以上のもの(両耳全ろう)
3級 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの(耳介に接しなければ大声語を理解し得ないもの)
4級 1 両耳の聴力レベルが80デシベル以上のもの(耳介に接しなければ話声語を理解し得ないもの)
2 両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50パーセント以下のもの
6級 1 両耳の聴力レベルが70デシベル以上のもの(40センチメートル以上の距離で発声された会話語を理解し得ないもの)
2 一側耳の聴力レベルが90デシベル以上、他側耳の聴力レベルが50デシベル以上のもの

出典:身体障害者福祉法施行規則 別表第5号「身体障害者障害程度等級表」

日本聴覚医学会による難聴の程度、WHOによる聞こえの程度、身体障害者手帳の認定基準は、それぞれ目的や基準が異なります。

例えば、中等度の難聴があって日常生活やコミュニケーションに困難を感じていても、身体障害者手帳の認定基準に該当しない場合があります。

「デシベルダウン運動」とは

このような現状を改めるために、聴覚障害者団体は日本の障害程度を国際基準に沿ったものにするように「デシベルダウン」という運動を行っています。

2. 障害者手帳による福祉の制度と、その他の制度

聴覚障害者が利用できる福祉サービスには、身体障害者手帳の有無や等級が利用条件となっているものがあります。一方、地域生活支援事業など、制度やサービスによって利用条件は異なります。

東京都の障害者福祉サービスについては、以下のホームページで確認できます。

地域生活支援事業は、地域の実情に応じて区市町村などが実施しているため、利用方法や対象者などは自治体によって異なります。

その他、都道府県や市町村で制度の中身は異なりますが、障害者手当、公共交通機関の割引、NHKの受信料割引などについても、身体障害者手帳の有無や等級などによって利用条件が定められています。

障害年金

障害年金は、身体障害者手帳とは別の制度です。身体障害者手帳の等級と障害年金の等級は同じではありません。

国民年金に加入している間などに初診日のある病気やけがによって、法令で定められた障害の状態となり、保険料の納付要件などを満たす場合には、障害基礎年金を受給できることがあります。

令和8年度の障害基礎年金額は、昭和31年4月2日以後生まれの方の場合、1級が年額1,059,125円、2級が年額847,300円です。対象となる子がいる場合には、子の加算があります。

また、厚生年金保険の加入期間中に初診日のある病気やけがによって一定以上の障害の状態となった場合には、障害厚生年金を受給できることがあります。障害厚生年金には1級、2級、3級があります。

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