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Web会議への情報保障に関する東京都への要望書 - 意見・要望・声明

東京都知事 小池百合子殿

2020年6月3日

意思疎通支援事業における難聴者のウエッブでの集まりへの
要約筆記者派遣に係わる要望

               
特定非営利活動法人 東京都中途失聴・難聴者協会
理事長 新谷友良

 私たち東京都中途失聴・難聴者協会は、聞こえに困っている人の交流の場、学びの場を広め、「聞こえ」の問題への社会の理解を求めて活動している、東京都の中途失聴・難聴者(以下、難聴者)と支援者の集まりです。新型コロナウイルス感染拡大防止に向けての、小池知事はじめ東京都の皆さまの昼夜を問わない対応について深い敬意を表します。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言は解除され、外出自粛・休業要請は緩和されていますが、第2波・第3波の感染拡大を防ぐために、3つの密を避ける「新しい生活様式」が求められています。しかし、難聴者は音声を利用する電話やテレビ会議で意思の疎通を行うことが難しく、人が人と会い、交流することが制限されている状況では、孤立した不安な毎日を送らざるを得ません。
 このような状況を改善し、聞こえる人たちと同じように、インターネットを利用した集まりが情報保障付きで行えるように、私たちの上部団体である(一社)全日本難聴者・中途失聴者団体連合会は、厚生労働省に対して「意思疎通支援事業における難聴者のウエッブでの会議・集まりへの要約筆記者派遣に係わる要望」を行いました。その結果、厚生労働省から都道府県の障害保健福祉主管課あてに「遠隔手話サービス等を利用した聴覚障害者の意思疎通支援体制の強化に関連す
るQ&A」が出され、その中で「遠隔で要約筆記を実施する場合の取扱いについても、遠隔手話サービスと同様に地域生活支援事業の意思疎通支援事業等の対象として差し支えない。」ことが明記されました。

 現在、障害者総合支援法の地域生活支援事業の枠組みで、難聴者の集まりへの要約筆記者派遣が制度化されています。しかしそこでは、難聴者が現実にどこかリアルな場に集まり、そこに要約筆記者が派遣される対面での利用が前提となっていて、自宅などに離れ離れにいる難聴者が、インターネット上の場に集まり、要約筆記者を利用することは想定されていません。

 そのため、インターネット上のバーチャルな場での要約筆記利用(イメージ図1)を可能とする仕組みを(特非)全国要約筆記問題研究会が構築し、難聴者の団体もこの仕組みの試行を何回か行いました。その結果、事業実施のために解決すべき課題はあるものの、要約筆記を利用したインターネット上での集まり(ウエッブ会議)は実施可能なシステムであり、対面での要約筆記利用に加えて、「新しい生活様式」での難聴者にとって必要な意思疎通支援の利用形態と考えます。

 つきましては、この利用形態を東京都の意思疎通支援事業(区市町村の派遣制度、複数区市町村の按分方式による派遣制度及び東京都の広域型行事への意思疎通支援者派遣制度)に含める旨、区市町村にご連絡いただくと同時に、派遣事業体である東京手話通訳等派遣センターに対して、登録要約筆記者団体と事業実施の細部を協議するよう、ご指示をお願います。

 なお、上記措置に加えて、手話通訳の遠隔利用サービスと同様、難聴者等が要約筆記支援を必要とする場(病院等)へ、遠隔で要約筆記サービスを提供することも、区市町村の派遣制度に加えていただくように合わせ要望いたします。(イメージ図2)

以上、早急なご検討を何とぞよろしくお願いします。

(添付資料)
1.「Web 会議システム Zoom(ズーム)を使った会議で要約筆記を行う方法」
  (全国要約筆記問題研究会作成)
2.「要約筆記を利用し Web 会議をやってみよう!」
  (全国要約筆記問題研究会作成)

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