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【東京都への要望】平成30年度予算についての懇談会 - 意見・要望・声明

「平成30年度予算についての懇談会」要望

特定非営利活動法人 東京都中途失聴・難聴者協会

1 はじめに
 障害者差別解消法が施行されて1年が経過しました。また、労働・雇用分野では障害者差別解消法の施行に合わせ、改正障害者雇用促進法の施行も始まっています。東京都では障害者差別を解消するために、「障害者差別解消支援地域協議会」を設置し、障害者差別解消のための条例つくりを積極的に進められていることに敬意を表します。
また、福祉のまちづくりに関しては、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて「Tokyo2020アクセシビリティガイドライン」が策定され、障害者を交えたバリアフリーの取り組みが進められており、その成果に大変期待をしております。
 このような状況のなか、例年通りですが東京都の障害者施策のより一層の前進・充実を求めて、以下の施策の実施を要望致します。平成30年度予算の編成に当たりまして、宜しくご検討のほどお願いいたします。

2.東京都の会議体への当団体の参加に関する要望(継続)
 数年来の要望の繰り返しになります。
障害者基本法に基づく「障害者政策委員会」は当事者が過半数を超える構成になっています。また、同法第36条は都道府県に「障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議し、及びその施策の実施状況を監視する」合議制の機関を設置することを義務付けています。一方、障害者差別解消法は、地域に「障害者差別解消支援地域協議会」の設置を求めており、その構成員に「特定非営利活動法人その他の団体」を加えることを明記しています。
 私たち東京都中途失聴・難聴者協会は障害者基本法が求める地域の協議機関である「東京都障害者施策推進協議会」に参画出来ていません。また「東京都福祉のまちづくり推進協議会」にも委員参加ができていません。そのような中、昨年新たに設置された「東京都障害者差別解消支援地域協議会」への参加が実現するものと期待しておりましたが、この参加も叶いませんでした。各障害種別の当事者団体の施策協議の場への参加は、障害者施策を進める上での核心的なものであり、参加を求める団体の長年の要望にもかかわらず、固定された団体にのみ委員委嘱を継続することは、障害特性への理解も乏しく特定団体に対する差別と考えます。現在大きく変わろうとする東京都の障害者施策に、私たち協会の参加の場、協力の場を設けて頂くよう強く要望いたします。
  
3.中途失聴・難聴者対象のコミュニケーション学習支援事業に関する要望
 当協会は、中途失聴・難聴者の自立と社会参加のためのコミュニケーション学習を非常に大切なものと考え、協会独自でコミュニケーション学習の場を設けると同時に、区市町村での中途失聴・難聴者に対するコミュニケーション学習支援の実施を要望しています。しかし、中途失聴・難聴者のコミュニケーション学習に対する地域の環境整備は非常に遅れており、現在東京都で実施いただいている中途失聴・難聴者対象のコミュニケーション学習支援の役割はきわめて大きなものがあります。東京都の中途失聴・難聴者対象のコミュニケーション学習支援の継続・より一層の拡充を改めてお願いします。

(1)中途失聴・難聴者対象の手話講習会をこれまで通り継続実施してください。(継続)
 中途失聴・難聴者対象の手話講習会を40年にわたり実施いただいていることに感謝いたします。中途失聴・難聴者が自分自身のコミュニケーション手段として手話を学び、手話によるコミュニケーションが出来ることの意味は非常に大きなものがあります。中途失聴・難聴者が手話を学ぶためには、同じ障害を持った人のピアー・サポートに加えて、要約筆記などの情報保障も欠かせません。東京都中途失聴・難聴者手話講習会はこのニーズに対応いただいている非常に大切な講習会です。東京都主催の中途失聴・難聴者手話講習会を継続・拡充いただくよう要望いたします。
また、多摩で実施しています講習会は現在3クラス編成となっています。そのため、受講タイミングが合わないと学習開始を半年待つなど、受講希望の方に我慢をいただくことになっています。多摩での講習会も三田同様4クラス編成としていただくようお願いします。

(2)中途失聴・難聴者手話講習会の指導者の養成を実施してください。(継続・新規)
 東京都手話通訳等養成講習会に「中途失聴・難聴者向け手話指導者養成コース」を設けて頂いたことに感謝いたします。協会は昨年度「東京都中途失聴・難聴者手話講習会 初級―上級クラス」対象の手話学習指導書を作成いたしました。入門クラス手話指導者に加え、初級―上級クラス手話指導者養成を計画に含めて頂くよう要望いたします。

(3)中途失聴・難聴者対象の読話講習会の新宿・多摩2か所開催をお願いします。(継続・新規)
 2年前、多摩地域での読話講習会を開催頂きました。その後多摩地域での講習会開催がなく、せっかく顕在化してきた多摩地域での読話学習の機運が後退しています。読話講習会開催のための予算が厳しいことは承知しておりますが、中途失聴・難聴者にとっての読話学習の大切さをご理解いただき、来年度より新宿・多摩2か所で講習会を開催することを要望いたします。

4.要約筆記事業に関する要望
(1)要約筆記者派遣事業の地域格差を無くしてください。(継続)
 従来からの継続要望です。要約筆記者の派遣事業は区市の必須事業となりながら、依然として一部の区市では要約筆記者の派遣事業が実施されていなかったり、利用目的・利用時間などの制限が設けられたりして、地域格差が解消していません。また、身体障害者手帳を持っていない人の利用は厳格に制限されています。障害認定の厳しさから、意思疎通に困難を抱えながら身体障害者手帳を取得できない多くの人がいます。障害者総合支援法に係る意思疎通支援事業実施要綱(モデル要綱)を参考に、このような差別・格差を解消するよう、東京都より区市町村への働き掛けをお願いします。

(2)東京都要約筆記者派遣事業を拡大・充実してください。(継続)
 東京都聴覚障害者意思疎通支援事業を拡充いただいていることに感謝いたします。また今年度は全国中途失聴者・難聴者福祉大会へ制度利用を拡充いただきお礼申し上げます。しかしながら、事業運営要綱で派遣内容の広域性、公益性が強く謳われているため、協会の理事会、各専門部の役員会が公益性を有しないとして利用申請が認められない状況は改善されていません。当協会は東京都より認定NPOの認定を頂いたように、活動目的は明確な公益性を有するものであり、理事会・役員会は協会の公益目的を果たすために欠くべからざる集まりです。協会理事会、役員会などを東京都聴覚障害者意思疎通支援事業の派遣対象に加えて頂くよう改めて要望致します。

(3)要約筆記者養成・研修事業の充実をお願いします。(継続)
 数年来の要望です。東京は、他に比べ要約筆記利用の実態が多岐にわたっているため、要約筆記者の技術や知識は高度なものが求められています。聴覚障害者の社会参加・社会進出を支援する高度な専門性を持った通訳者を育てるため、講習会助手の増員や障害当事者を交えた実習など要約筆記者養成講習会内容のより一層の充実をお願いします。
 また、都が養成した要約筆記者が、様々な派遣の現場に対応できる通訳技術や対人支援技術の研鑽を深めるため、要約筆記者の研修に係る予算確保をお願いします。 
 
5.相談支援事業に関する要望(継続)
 数年来の要望の継続です。
東京都心身障害者福祉センターでの中途失聴・難聴者対象の相談事業がなくなり、東京都には中途失聴・難聴者専門の相談機関はありません。又、当事者による相談の場は、東京障害者福祉会館の委託を受け、毎日曜日に当協会が専門相談員を派遣している相談会のみです。
 中途失聴・難聴者は聞こえなくなったとき、心理的・病理的なサポートを必要としています。とくに心理的に動揺している聞こえなくなった人をサポートする仕組みが求められ、耳鼻科医、言語聴覚士、補聴器装用技能者、ケースワーカー、カウンセラー、ボランティアなどの連携した専門的な支援システムが必要です。高齢者には介護を中心とした区市町村のサポートシステムが構築されていますが、中途失聴・難聴に対するそのようなサポートの仕組みはありません。中途失聴・難聴者専門の支援知識を持った相談員事業、当事者による相談事業が区市町村で実施されることが理想でありますが、そのためには、区市町村事業実施の環境整備としての東京都の相談事業の構築をお願いします。

6.人工内耳外部機器及び電池の助成(継続)
 数年来の継続要望です。
聴覚障害者の聴覚補償として、人工内耳が普及しています。人工内耳は手術に4百万円以上の費用が必要とされ、手術後も外部機器や電池交換などの費用が必要となります。手術費用は自立支援医療、高額医療費助成により個人負担が低減されていますが、外部機器の取り換え費用、電池の購入費用はすべて利用者の個人負担となっています。外部機器のプロセッサーは60~80万円と高額であり、充電池も1個2万円弱で2年に一度は交換が必要です。東京都よりは、厚生労働省に支援制度創設を働きかけている旨ご回答を頂いていますが、全国各地の自治体では独自の助成が進められています。(人工内耳友の会ACITA作成の全国公費助成の一覧表を添付します)東京都でも同様の公費助成を早急に開始いただくよう要望いたします。

7.福祉のまちづくりに関する要望(継続)
 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都の福祉のまちづくりは大きな転換点に立っています。大会組織委員会には「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けたアクセシビリティ協議会」が設置され、ガイドライン作りが進められてきました。東京2020オリンピック・パラリンピック実施にあたっては、競技施設・関連施設に止まらず、地域全体の福祉のまちづくりが求められます。私たち中途失聴・難聴者の場合、音声情報の聞きやすさ、視覚化という点で、文字情報や補聴援助システムの普及、騒音低減等が必要です。
 つきましては「東京都福祉のまちづくり条例」には、以下の2点を盛り込んでいただくことを要望いたします。
(1)福祉のまちづくり条例では、受付窓口対応の基準が少なく感じます。従来、聴覚障害者が困るのが、窓口でのコミュニケーション。特に役所や病院、銀行等の窓口の利用で困る方が多いのです。こうした施設について、
・簡易筆談器を用意し、筆談対応する
・聞こえにくい人向けに、明瞭な音声のスピーカーやヒアリング(磁気)ループを用意する
・聞こえにくい人向けのサポートがあることを、見てわかるように「耳マーク」を掲示する。窓口が狭い場合も排除せず、天井からつるすなど、視覚的な案内に努める。
(2)新たにヒアリングループを使用しているところが視覚的にわかるよう、ヒアリングループマークが作られています。このマークは補聴器や人工内耳に内蔵されている磁気誘導コイルを使って利用できる施設・機器であることを表すマークです。このマークを活用してヒアリングループの普及を図っていただくようお願い申し上げます。
8.災害に関する要望
(1)災害対策全般(継続)
 先般の災害対策基本法改正に伴い、各市町村で「要援護者名簿」の作成が義務づけられると同時に、本人の同意を得て消防・民生委員等関係者への個人情報の開示が規定されています。要援護者名簿の登録は各区市が実施していますが、名簿に基づく災害情報、その伝達手段、避難の基本的なあり方は各区市町村で共通する部分が多いと考えます。
 昨年の回答で、各区市の個別支援計画の策定状況等について、東京都では各区市町村に対して名簿対象としている障害種別等の調査等を行い、調査結果を各区市町村にフィードバックし、区市町村の取り組みを支援するお考えがあると伺いました。状況を教えていただけますか。
 また、1つの災害について、区市町村だけでは対応しきれない現状があると思いますが、東京都と区市町村の取り組みの融合具合がよく見えないところがあります。
 通勤通学者の対応など、地域によって違うかと思います。障害者は港区であれば福祉会館に来れば大丈夫なのか、他の地域ではどこに行けばよいのか、等様々な課題があると思いますが、東京都のどこにいても障害者が困らない対応について検討はされているでしょうか。

(2)障害者向け火災警報器の普及について(継続)
 東京都の施設や公共の場での聴覚障害者向けの警報装置の設置についてお尋ねします。都庁や関連施設、都営交通、都営アパート等には、聴覚障害者にもわかる警報装置が設置されていますが、都内各地に密集している巨大ターミナルや大型商業施設においての聴覚障害者への対応も必要です。
 昨年9月に消防庁から、聴覚障害者などに対して火災時に情報を有効に伝達する手段として「光」により火災の発生を伝える警報装置(光警報装置)の活用に関するガイドラインが出されました。東京都でもこのような警報装置の設置について普及に努めていただくことをお願いします。また利用者がどこに何が設置されているかわかるように、視覚的な案内や広報にも努めていただけますようお願いいたします。

9.協会活動への支援(継続)
 今年11月、東京都中途失聴・難聴者協会主管で開催する「第23回全国中途失聴者・難聴者福祉大会」への様々なご支援に感謝いたします。
来年度以降も当協会は、「東京都中途失聴・難聴者の集い」を開催し、東京都の中途失聴・難聴者同士、また支援頂く方との交流を深め、社会の聴覚障害についての理解を深める企画をしております。この集まり、企画については継続して東京都のご支援を頂いております。来年度も、企画が決定次第ご案内させて頂きますので、是非「集い」へのご支援、ご出席をお願いいたします。

10.「耳の日」企画の実施について(継続)
「耳の日」は、日本耳鼻咽喉科学会のホームページで「難聴と言語障害をもつ人びとの悩みを少しでも解決したいという、社会福祉への願いから始められたもので、日本耳鼻咽喉科学会の提案により、昭和31年に制定されました。日本耳鼻咽喉科学会では毎年「耳の日」に、都道府県ごとに、難聴で悩んでいる方々の相談や、一般の人びとにも耳の病気のことや、健康な耳の大切さを知っていただくための活動を行っています。」と説明されています。
 東京都では、日本補聴器工業会などは民間ベースで「聞こえの健康」の相談会を開催しておりますが、行政ベースの取組は行われていないように感じます。世界保健機関(WHO)は毎年3月3日を「Ear Care Day」として聞こえの健康への取り組みを呼び掛けております。東京都でも是非行政ベースで聞こえの健康を目指した「耳の日」の企画を進めて頂くよう要望いたします。

11.「耳マーク」の普及について(新規)
今年3月、「耳マーク」普及活動についてのお願いの文書を東京都小池知事に提出させていただきました。その文書でも書いておりますが、「耳マーク」は聞こえない・聞こえにくいために様々な生活の場で苦痛を味わった難聴者が考案したアイデアであり、聞こえの向上・保障を求めていく積極的な生き方を象徴しております。そして、「筆談してください」・「筆談します」などのメッセージを添えて利用することで、支援を求める人・支援をする人の相互交流を促す共生社会への大切なツールとなるものと考えております。耳マークは、「障害者白書」においても障害者のマークとして紹介され、東京都でも都営地下鉄改札口などで「耳マーク」を設置頂いています。東京都でもこのような耳マークの趣旨をご理解いただき、都庁受付やその他関連施設でも「耳マーク」を設置頂くと同時に、東京都の条例でも設置を推奨するよう取り組んでください。

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