ホーム 協会の意見書・要望書・声明 【東京都への要望】平成28年度予算についての懇談会

【東京都への要望】平成28年度予算についての懇談会

「平成28年度予算についての要望」 

特定非営利活動法人 東京都中途失聴・難聴者協会

 1 はじめに

 平成21年暮れから始まった障害者制度改革では、障害者基本法の改正、障害者総合支援法、障害者差別解消法の成立があり、昨年1月には国連障害者権利条約も批准されました。一方、バリアフリー施策に於いては、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けたアクセシビリティ協議会」が設置され、建物・交通・コミュニケーション各分野のガイドライン作りが進められております。
 私たちに関係の深い障害者福祉分野では、障害者総合支援法の規定する都道府県地域生活支援事業において「専門性の高い意思疎通支援を行う者を養成し、又は派遣する事業、意思疎通支援を行う者の派遣に係る市町村相互間の連絡調整その他の広域的な対応が必要な事業として厚生労働省令で定める事業」が始まっています。東京都においても「東京都聴覚障害者意思疎通支援事業」が開始され、当協会の長年要望してきた専門性の高い手話通訳者・要約筆記者の派遣事業、広域的な派遣事業を開始頂いたことを高く評価いたします。
 このような状況のなか、例年通りですが東京都の障害者施策のより一層の前進・充実を求めて、以下の施策の実施を要望いたします。宜しくご検討のほどお願いいたします。 

2.東京都の会議体への当団体の参加に関する要望(継続)

 障害者基本法に基づく「障害者政策委員会」は当事者が過半数を超える構成になっています。また、同法第36条は都道府県に「障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議し、及びその施策の実施状況を監視する」合議制の機関を設置することを義務付けています。一方、来年4月施行の障害者差別解消法は、地域に「障害者差別解消支援地域協議会」の設置を求めており、その構成員に「特定非営利活動法人その他の団体」を加えることを明記しています。
 私たち中途失聴・難聴者は依然として「東京都障害者施策推進協議会」に参画できていません。また「東京都福祉のまちづくり推進協議会」にも委員参加ができていません。各障害種別の当事者団体の施策協議への参加は、障害者施策を進める上での核心的なものであり、参加を求める団体の長年の要望を無視し、固定された団体にのみ委員委嘱を継続することは、特定団体に対する差別と考えます。現在大きく変わろうとする東京都の障害者施策に、私たち協会の参加の場、協力の場を設けていただくよう強く要望いたします。  

3.中途失聴・難聴者対象のコミュニケーション学習支援事業に関する要望

 当協会は、中途失聴・難聴者の自立・社会参加促進のためのコミュニケーション学習を非常に大切なものと考え、協会独自でコミュニケーション学習の場を設けると同時に、区市町村での中途失聴・難聴者に対するコミュニケーション学習支援の実施を要望しています。しかし、中途失聴・難聴者のコミュニケーション学習に対する地域の環境整備は非常に遅れており、現在東京都で実施いただいている中途失聴・難聴者対象のコミュニケーション学習支援の役割はきわめて大きなものがあります。東京都の中途失聴・難聴者対象のコミュニケーション学習支援の継続・より一層の拡充を改めてお願いします。 

(1)中途失聴・難聴者対象の手話講習会をこれまで通り継続実施してください。(継続)

 中途失聴・難聴者対象の手話講習会を40年にわたり実施いただいていることに感謝いたします。中途失聴・難聴者が自分自身のコミュニケーション手段として手話を学び、手話によるコミュニケーションができるようになることの意味は非常に大きなものがあります。中途失聴・難聴者が手話を学ぶためには、同じ障害を持った人のピアー・サポートに加えて、要約筆記などのサポートも欠かせません。また高齢化社会の進展で、高齢難聴者も増えてきています。東京都中途失聴・難聴者手話講習会はこのニーズに対応いただいている非常に大切な講習会です。東京都主催の中途失聴・難聴者手話講習会を継続・拡充いただくよう要望いたします。なお、多摩で実施しています講習会は現在3クラス編成となっており、タイミングが合わないと学習開始を半年待つなど、受講希望の方に我慢をお願いしています。多摩での講習会も三田同様4クラス編成としていただくようお願いします。 

(2)中途失聴・難聴者手話講習会の指導者の養成を実施してください。(継続・新規)

 中途失聴・難聴者対象の手話講習会には、聞える人を対象とした、又通訳養成を目的とした手話講習会と異なった配慮が必要です。学習しやすい手話の指導方法と共に、障害についての理解とコミュニケーションの基本を習得した指導者の養成が求められます。
 東京都手話通訳者等養成講習会の指導者クラスは、地域での手話講習会での指導者養成を目的とおり、私たちの求める指導者養成カリキュラムとは大きな隔たりがあります。協会は昨年度日本財団の助成で「コミュニケーション指導者(手話指導者)養成事業」を独自に実施しました。事業の詳細は報告書のとおりですが、今年度は財団の助成が得られず協会の独自事業として実施せざるを得ない状況です。中途失聴・難聴者のコミュニケーション学習の充実のためには、その指導者の養成が欠かせません。本事業の来年度以降の継続のために、東京都の格別のご協力をお願いいたします。 

(3)中途失聴・難聴者対象の読話講習会の渋谷・多摩2か所開催をお願いします。(継続・新規)

 昨年度多摩地域での読話講習会を開催いただいたことに感謝いたします。今年度は多摩地域での講習会開催がなく、せっかく顕在化してきた多摩地域での読話学習の機運が後退することが懸念されます。読話講習会開催のための予算が厳しいことは承知しておりますが、中途失聴・難聴者にとっての読話学習の大切さをご理解いただき、来年度より渋谷・多摩2か所で講習会を開催することを要望いたします。

 4.要約筆記事業に関する要望

(1)要約筆記者派遣事業の地域格差を無くしてください。(継続)

 障害者自立支援法で要約筆記者の派遣事業は区市の必須事業となりながら、依然として一部の区市では要約筆記者の派遣事業が実施されていなかったり、利用目的・利用時間などの制限が設けられたりして、地域格差が解消していません。また、身体障害者手帳を持っていない人の利用は厳格に制限されています。障害認定の厳しさから、意思疎通に困難を抱えながら身体障害者手帳を取得できない多くの人がいます。障害者総合支援法に係る意思疎通支援事業実施要綱(モデル要綱)を参考に、このような差別・格差を解消するよう、東京都より区市町村への働き掛けをお願いします。

 (2)東京都要約筆記者派遣事業を拡大・充実してください。(継続)

 東京都聴覚障害者意思疎通支援事業を開始いただいたことに感謝いたします。昨年度は事業開始の初年度であり、事業運営要綱で派遣内容の広域性、公益性が強く謳われているため、協会の理事会、各専門部の役員会が公益性を有しないとして利用申請が認められませんでした。当協会は東京都より認定NPOの認定をいただいたように、活動目的は明確な公益性を有するものであり、理事会・役員会は協会の公益目的を果たすために欠くべからざる集まりです。協会理事会、役員会などを東京都聴覚障害者意思疎通支援事業の派遣対象に加えていただくよう強く要望いたします。 

(3)要約筆記者養成・研修事業の充実をお願いします。(継続)

 平成23年に厚生労働省から「要約筆記者養成カリキュラム」が通知され、全国で要約筆記奉仕員から要約筆記者の養成に移行が進んでいます。東京はその移行を先取りした形で要約筆記者の養成に取り組んできました。東京は、他県に比べ要約筆記利用の実態が多岐にわたっているため、要約筆記者の技術や知識は高度なものが求められています。今後も聴覚障害者の社会参加支援だけではなく、社会進出が可能になる高度な専門性を持った通訳者を育てることが求められます。要約筆記者養成講習会内容のいっそうの充実をお願いします。
 また、都が養成した要約筆記者が、様々な派遣の現場に対応できる通訳技術や対人援助技術等を磨くことのできる登録年度別研修に係る予算確保もお願いします。  

5.相談支援事業に関する要望(継続)

 東京都心身障害者福祉センターでの中途失聴・難聴者対象の相談事業がなくなり、東京都には中途失聴・難聴者専門の相談機関はありません。又、当事者による相談の場は、東京障害者福祉会館の委託を受け、毎日曜日に当協会が専門相談員を派遣している相談会のみです。
 中途失聴・難聴者は聞こえなくなったとき、心理的・病理的なサポートを必要としています。とくに心理的に動揺している聞こえなくなった人をサポートする仕組みが必要です。耳鼻科医、言語聴覚士、補聴器認定技能者、ケースワーカー、カウンセラー、ボランティアなどの連携した専門的な支援システムが必要です。高齢者には介護を中心とした区市町村のサポートシステムが構築されていますが、中途失聴・難聴に対するそのようなサポートの仕組みはありません。中途失聴・難聴者専門の支援知識を持った相談員事業、当事者による相談事業が区市町村で実施されることが理想でありますが、そのためには東京都での相談事業を通じての相談員の養成、事業ノウハウの蓄積が求められます。区市町村事業実施の環境整備としての東京都事業の構築をお願いします。 

6.人工内耳外部機器及び電池の助成(継続)

 聴覚障害者の聴覚補償として、人工内耳が普及しています。人工内耳は手術に4百万円以上の費用が必要とされ、手術後も外部機器や電池交換などの費用が必要となります。手術費用は自立支援医療、高額医療費助成により個人負担が低減されていますが、外部機器の取り換え費用、電池の購入費用はすべて利用者の個人負担となっています。外部機器のプロセッサーは60~80万円と高額であり、充電池も1個2万円弱で2年に一度は交換が必要です。全国的に熊本県や静岡県などでは公費による助成が実施されています。東京都でも同様の公費助成を開始いただきますよう要望いたします。 

7.福祉のまちづくりに関する要望(継続)

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都の福祉のまちづくりは大きな転換点に立っています。冒頭に述べましたように、大会組織委員会には「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けたアクセシビリティ協議会」が設置され、ガイドライン作りが急速に進められております。東京オリンピック・パラリンピック実施にあたっては、競技施設・関連施設に止まらず、地域全体の福祉のまちづくりが求められます。私たち中途失聴・難聴者に関係の深い文字情報や補聴援助システムの普及に関しては、「施設整備マニュアル」の見直しで「観覧席、客席だけでなく、会議室など人が集まるところへの設置も有効で、整備を行うことが望ましい」と追記いただいたことを評価いたしますが、前述の「アクセス協議会」でこのようなきめの細かな議論が行えるのか危惧があります。東京都として、「東京2020オリンピック・パラリンピック」に向け、どのように福祉のまちづくりを進めていかれるのか、方針をお聞かせください。

8.災害に関する要望

(1)災害対策全般(継続)

 災害対策基本法が改正されました。区市町村に「要援護者名簿」の作成が義務付けられると同時に、本人の同意を得て消防・民生委員等関係者への個人情報の開示が規定されています。要援護者名簿の登録は各区市が実施していますが、名簿に基づく災害情報の提供、個別支援計画の実施は各区市で異なっています。地域での特殊性はあると思いますが、聴覚障害者に必要な災害情報、その伝達手段、避難の基本的なあり方は各区市町村で共通する部分が多いと考えます。各区市の個別支援計画の策定状況及び、都の考え方をご説明ください。

 (2)聴覚障害者向け火災警報器の普及について(継続)

-1.東京都の施設や公共の場での聴覚障害者向けの警報装置の設置はどうなっているでしょうか。都庁や関連施設、都営交通、都営アパート等には、聴覚障害者にもわかる警報装置が設置されていますか。都内各地に密集している巨大ターミナルや大型商業施設においての聴覚障害者への対応についてもお伺いします。
-2.また、東京都の火災予防条例で義務づけられた火災警報器について、引き続き聴覚障害者に適した火災警報器や、購入助成の制度の周知に努めてください。
-3.自治体へ聴覚障害者向け火災警報器給付制度を充実するように指導してください。 

9.協会活動への支援(継続)

 当協会は、毎年一回「東京都中途失聴・難聴者の集い」を開催し、東京都の中途失聴・難聴者同士、また、支援いただく方との交流を深め、社会の聴覚障害についての理解を深める企画をしております。この集まり、企画については過去継続して東京都のご支援をいただいております。今年度も、企画が決定次第ご案内させていただきますので、是非「集い」へのご支援、ご出席をお願いいたします。

 

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