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聞こえない人の福祉 - 聞こえに困っている方へ

1.聴覚障害者の範囲と「デシベルダウン運動」

聞こえない人にとって住みやすい社会をつくるためには、幅広いバリアフリーな社会、互いに支え合う社会となるような取り組みが必要ですが、身近な問題として福祉サービスの充実が大変重要になります。

しかし、日本の福祉サービスは、原則として障害者手帳を持っている人を対象として作られています。聴覚障害についていえば、身体障害者福祉法がその範囲を決めており、その範囲に入らない人は聞こえに困っていても障害者手帳を取得できず、必要な福祉サービスを受けることができません。

詳細は東京都心身障害者福祉センターのホームページをご覧ください。

聞こえの程度と障害等級
聴力レベル
(デシベル)
聴覚障害聞こえの程度身体障害手帳等級世界保健機関(WHO)の規定
0 〜 10 正常聴力
20 正常聴力 26-40dB Slight Impairment
(医師との相談、補聴器使用)
30 ささやき声
40 中等度難聴 41-60dB Moderate Impairment
(補聴器の常時使用)
50 普通の会話
60 少し大きな声での会話 61-80dB Severe Impairment
(補聴器の常時使用、手話・読話の習得)
70 高度難聴 6級
80 ピアノの音・電車内の騒音 4級 81dB以上 Profound Impairment
(補聴器効果が制限的、手話・読話必須)
90 3級
100 重度難聴 電車通過時のガード下 2級
110 自動車のクラクション
120 飛行機のエンジン音

上記の表でわかるように、日本の障害程度は世界保健機関(WHO)の基準に比べて大変厳しいものになっています。

普通の会話が難しい平均聴力60デシベルの人は障害者手帳を取得できません。したがって、手帳を持っていることが条件となる福祉サービスを受けることができなくなってしまいます。多くの都道府県や市町村では、補聴器の給付・貸与、手話通訳・要約筆記の派遣などの福祉サービスは、手帳を持っていることが条件になっています。

このような現状を改めるために、聴覚障害者団体は日本の障害程度を国際基準に沿ったものにするように「デシベルダウン」という運動を行っています。

2.障害者手帳による福祉の制度と、その他の制度

聴覚障害以外の多くの障害者の福祉サービスは「障害支援区分」による判定に従ってサービスの種類や内容が決まります。しかし、私たち聴覚障害者が利用する福祉サービスの多くは「障害支援区分」ではなく、障害者手帳の等級によって利用できる範囲が決まっています。

東京都の障害者福祉サービスは、以下のホームページで検索できます。

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/index.html(福祉サービス全般)

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shogai/chiiki.html(地域生活支援事業)

その他、都道府県や市町村で制度の中身は異なりますが、障害者手当、公共交通機関の割引、NHKの受信料割引なども障害者手帳を持っていることが条件となり、その等級によってサービスの中身が異なります。

また、障害のある人にとっては年金が大きな問題となりますが、障害者に関する年金については障害者総合支援法ではなく、国民年金法、厚生年金保険法が決めています。

国民年金に加入している間に初診日のある病気やケガで、障害の状態にある間は、年間966,000円(1級)、 772,800円(2級)の障害基礎年金が支給されます(平成26年度)。

また、厚生年金に加入している間に初診日のある病気やケガで、障害基礎年金の1級または2級に該当する障害の状態になったときは、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。障害者手帳の等級との関係でいえば、おおよそ手帳1,2級が年金の1級、手帳3級が年金2級に当たります。

http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3225

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