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音を失って… - 聞こえに困っている方へ

「聞こえる」という意識もなく、聞こえて当たり前の生活から、音のない世界へといきなり放り出されたのは、20年以上も前のことです。

突発性難聴です。メニエール病も後から追いかけてきました。さまざまな治療で1年間ほど時間を費やしました。しかし、原因が分からないので適切な治療法はなく、徒労に終わりました。

「聞こえない」を背負って、第二の人生の始まりです。

私の周りの人はみんな聞こえます。聞こえない人と出会ったことはなく、聞こえないのは自分一人だと思い、ひどく落ち込みました。

東京都が発行している福祉の手引きをひもといて、読話と手話の講習会が開かれているのを知りました。ある病院の医師に「手話を習いなさい」と言われたことを思い出し、講習会に参加しました。

そこで「聞こえない仲間がいる!」と分かり、ホッ!としました。そして失われた聴覚に代わり、視覚による手話を学ぶことにより、コミュニケーションができることは、大きな喜びとなりました。

「手話学習は障害の受容につながる」と言われる所以でしょうか。

以前、読んだ本に「みんなが手話で話した島」があります。

ある島を訪れた記者は、島人達がみんな手話を使っているので、誰が聴覚障害者なのか分からなかったということです。

手話言語条例がより多くの地域で制定され、手話人口が広がり、街中でも普通に手話を使う状態になれば、背負っている重荷「聞こえない」が、より軽くなることでしょう。

2014年発行「聞こえのハンドブック」掲載コラム②より

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